見逃さない女になる
風景の写真が苦手だ。魅力的に撮れない。技術的な問題もあるけれど、私という人間のソフトウェアのバージョンが低いからだと思っている。子供のときから継続的に感性の教育をきちんとしてやらなかった自分が露呈する。客観的に自分の撮った写真を見て、そこから感じるものが少ない。魅力の密度がすごく低い。
室内の写真と違って、風景の写真ていうのは、情報が多すぎるから難しいだろうな、とは思う。
木と空だけの写真でも、空には雲がかかっていてどうトリミングするか悩ましいし、角度を変えるともう空自体の色が変わるし、木だって枝ぶり一本入れるか入れないかで見え方が変わる。
でも、そもそも私には、空と木だけしか目の前になかったら「何もない」ように見えると思う。色々変化があるっていうのは、カメラを構えてみて初めて気付くことが多い。何もないわけではないのだ。変化していく美しい風景は、切り取り方次第ではあるけれど、確実にそこにある。でも、見ようとしていない時間が圧倒的に長いし、探そうとした経験だって少ない。
要するに、私の撮る写真は解像度が低いのだ。魅力をたくさん掬ってやれないから密度のない写真になる。素敵な写真を撮る人の目には、きっと私が見ているよりずっと多くのものが映っているのだろうと思う。解像度が良い目で見れば、より多くの美を見つけられる。
ふと、人を好きになる時の「気づき」に似ていると思った。
多くは「顔が好みじゃない」とかいう理由でざっくりと見ていたばかりに、その人の隠し持つ大きな魅力を取りこぼしそうになることがある。そういうものは、付き合いが長くなれば努力せずとも見えてくるものだ。しかし街コンやら婚活パーティーではそうもいかない。1度スルーしてしまったら、そのひととの縁はその時点で切れてしまう。
体形などの大きな情報に惑わされずに見る。
長い目で見る。
長い目で見るために、連絡先の交換は積極的にする。
私が最近心がけていることである。